2010年 07月 31日
7月の読書 |
毎日の猛暑で、頭もボーッとし読書に集中できないながら、読んだ本を記録します。
『あなたの余命教えます』 幸田真音 講談社
図書館の返却棚から、見つけた本。著者の写真を見てテレビで見た顔と思い経歴と著作をみて興味を持った。米国系銀行や証券会社に勤務後、経済小説を多く書いており、財務省や国交省の審議委員もしているスゴイ才女である。
本著は、これまでの著書と異なった分野の小説である。主人公、永関は、あと何年かで定年を迎える56才の男性。最近、何人かの同年代の知人の死に遭い、寿命や余命に関心を持つようになった。自分もあと何年生きられるか、インターネットで探索していると、「余命」について書いているものを見つけた。
国際アガスティア研究所という組織。そこではゲノム解析や予防医学、そして人間の正確な「余命予測」ができるというのだ。あらすじを書こうとして、またまた長たらしいものになると感じ、結論だけを書く。余命を知って良いことはない。よりよい介護をするため、老親の余命を、という夫婦、愛人の妻の余命を知りたいという女、永関の妻も夫の余命を知りたがっていた・・。 動機はそれぞれだが知らされた結果から夫婦間がおかしくなったりする。
高い調査料を払って、夫自身が知らされた余命と、妻が知らされた夫の余命とは大きく違っていた。提出したデータ一つ違うだけで大きな差が出るということは、そんなことは出来得ないということだろう。なんとも不思議な読み物だった。
『家長』 三浦朱門 文藝春秋
曾野綾子氏の小説は沢山読んでいるが、ご主人の三浦朱門氏の作品を読むのは初めてである。『家長』という題から固い文章かと思ったが、さすがと思わせる文体である。文化庁長官や多くの役職を担っているが、家長としての大変さも伝わってくる私小説である。
≪人生の最晩年を迎え、老醜をさらす父母の姿にそそがれる、息子の複雑なまなざし―≫と本の紹介にある。三浦の両親の人生も掘り起こされている。
曾野綾子である妻は、社会的に活躍している弁護士となっており、夫婦像も納得する形で描かれている。
この作品は、昭和49年から63年にかけて「文学界」に8回にわたって掲載されたものである。
『優しい子よ』 大崎善生 講談社
以前、VINさんの紹介で『聖の青春』『将棋の子』を読んで、著者の人間性に惹かれたこともあり、手に取った。ノンフィクション4編が掲載されている。
表題の「優しい子よ」はある難病の少年との交流が描かれる。
著者は、45才で、26才の女流棋士と結婚する。妻はテレビにも出て子どもに将棋の指導をしている。難病の子ども(茂樹)が、彼女のファンで、色紙を欲しがっていると、父親からメールが来た。子どもから直接手紙が欲しいと伝えた。少年は9才、血液の病気で直る見込みはない。しかし、少年から憧れていた女性棋士に手紙が書ける喜びを綴った手紙が来る。彼女も、4歳の時、トラックにひかれ、片足を危うく切断という事故に遭って手術を繰り返し、今も不自由な身体である。手紙に添えて、本2冊、著者の「聖の青春」と彼女の半生記を書いたもの、扇子を送る。返事をもらった少年からの手紙はお礼の言葉と、いつも彼女の身体を気遣う言葉が書かれていた。痛くないですか、痛くないように祈っています、と結ばれていた。会いに行きたいと伝えると、もう少し元気な姿を見て欲しい、と言っていると父親からの手紙が来る。しかし、少年は3ヵ月後死んでしまう。いつしか、父親との交流も途絶える。もう一つの短編「誕生」は、48才になっていた著者の思ってもみなかった、長男の誕生である。このことを書いたことで、茂樹少年の父親から、お祝いの手紙をもらう。77才になった、著者の父は北海道で暮らす。5ヵ月の息子を連れて父に顔を見せに行く。兄夫婦に子どもがないことから、父にとって初めての孫である。医師だった父は、息子に医者になることを求め、確執があったが、読書家の父は、息子が作家の道を歩き始めると大変喜び、本を抱いて寝るという。
『ああ息子』 西原理恵子 朝日新聞社
漫画家の西原さんが男の子が、いかに親や周りをハラハラさせ、驚かせ、心配させるか、実体験から 世の母親達からの投稿を集め、本にしたもの。よく事件になる冷蔵庫に潜り込んだり、洗濯機に落ちたり、穴やホースにものを詰めたり、読んですでに返してしまったので、思い出せないが、あっとするようなこともやってしまう怪物君でもある。
他に何冊か飛ばし読みしたが略します。
今日は、地区の盆踊りが近くのコミュニティセンターグラウンドで行われている。2・3分の距離なので、行ってみようかと思ったが、7月最終日、この日記を記している。
あしたもあるので、覗いてみようと思う。
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『あなたの余命教えます』 幸田真音 講談社
図書館の返却棚から、見つけた本。著者の写真を見てテレビで見た顔と思い経歴と著作をみて興味を持った。米国系銀行や証券会社に勤務後、経済小説を多く書いており、財務省や国交省の審議委員もしているスゴイ才女である。
本著は、これまでの著書と異なった分野の小説である。主人公、永関は、あと何年かで定年を迎える56才の男性。最近、何人かの同年代の知人の死に遭い、寿命や余命に関心を持つようになった。自分もあと何年生きられるか、インターネットで探索していると、「余命」について書いているものを見つけた。
国際アガスティア研究所という組織。そこではゲノム解析や予防医学、そして人間の正確な「余命予測」ができるというのだ。あらすじを書こうとして、またまた長たらしいものになると感じ、結論だけを書く。余命を知って良いことはない。よりよい介護をするため、老親の余命を、という夫婦、愛人の妻の余命を知りたいという女、永関の妻も夫の余命を知りたがっていた・・。 動機はそれぞれだが知らされた結果から夫婦間がおかしくなったりする。
高い調査料を払って、夫自身が知らされた余命と、妻が知らされた夫の余命とは大きく違っていた。提出したデータ一つ違うだけで大きな差が出るということは、そんなことは出来得ないということだろう。なんとも不思議な読み物だった。
『家長』 三浦朱門 文藝春秋
曾野綾子氏の小説は沢山読んでいるが、ご主人の三浦朱門氏の作品を読むのは初めてである。『家長』という題から固い文章かと思ったが、さすがと思わせる文体である。文化庁長官や多くの役職を担っているが、家長としての大変さも伝わってくる私小説である。
≪人生の最晩年を迎え、老醜をさらす父母の姿にそそがれる、息子の複雑なまなざし―≫と本の紹介にある。三浦の両親の人生も掘り起こされている。
曾野綾子である妻は、社会的に活躍している弁護士となっており、夫婦像も納得する形で描かれている。
この作品は、昭和49年から63年にかけて「文学界」に8回にわたって掲載されたものである。
『優しい子よ』 大崎善生 講談社
以前、VINさんの紹介で『聖の青春』『将棋の子』を読んで、著者の人間性に惹かれたこともあり、手に取った。ノンフィクション4編が掲載されている。
表題の「優しい子よ」はある難病の少年との交流が描かれる。
著者は、45才で、26才の女流棋士と結婚する。妻はテレビにも出て子どもに将棋の指導をしている。難病の子ども(茂樹)が、彼女のファンで、色紙を欲しがっていると、父親からメールが来た。子どもから直接手紙が欲しいと伝えた。少年は9才、血液の病気で直る見込みはない。しかし、少年から憧れていた女性棋士に手紙が書ける喜びを綴った手紙が来る。彼女も、4歳の時、トラックにひかれ、片足を危うく切断という事故に遭って手術を繰り返し、今も不自由な身体である。手紙に添えて、本2冊、著者の「聖の青春」と彼女の半生記を書いたもの、扇子を送る。返事をもらった少年からの手紙はお礼の言葉と、いつも彼女の身体を気遣う言葉が書かれていた。痛くないですか、痛くないように祈っています、と結ばれていた。会いに行きたいと伝えると、もう少し元気な姿を見て欲しい、と言っていると父親からの手紙が来る。しかし、少年は3ヵ月後死んでしまう。いつしか、父親との交流も途絶える。もう一つの短編「誕生」は、48才になっていた著者の思ってもみなかった、長男の誕生である。このことを書いたことで、茂樹少年の父親から、お祝いの手紙をもらう。77才になった、著者の父は北海道で暮らす。5ヵ月の息子を連れて父に顔を見せに行く。兄夫婦に子どもがないことから、父にとって初めての孫である。医師だった父は、息子に医者になることを求め、確執があったが、読書家の父は、息子が作家の道を歩き始めると大変喜び、本を抱いて寝るという。
『ああ息子』 西原理恵子 朝日新聞社
漫画家の西原さんが男の子が、いかに親や周りをハラハラさせ、驚かせ、心配させるか、実体験から 世の母親達からの投稿を集め、本にしたもの。よく事件になる冷蔵庫に潜り込んだり、洗濯機に落ちたり、穴やホースにものを詰めたり、読んですでに返してしまったので、思い出せないが、あっとするようなこともやってしまう怪物君でもある。
他に何冊か飛ばし読みしたが略します。
今日は、地区の盆踊りが近くのコミュニティセンターグラウンドで行われている。2・3分の距離なので、行ってみようかと思ったが、7月最終日、この日記を記している。
あしたもあるので、覗いてみようと思う。
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by ttfuji
| 2010-07-31 20:27
| 読書