2013年 06月 13日
読書会「わりなき恋」・その他の話題 |
台風のおかげか、漸くお湿り程度の雨に恵まれた。庭のアジサイも精気を取り戻して、色鮮やかだ。このあと雨が続く予報もある。昨日は、午前中、スイミング。午後は読書会があった。
今日の課題本は、岸恵子さんの『わりなき恋』。前回、本の選定のとき、Sさんの希望でこの本に決まった。みな著者と同年代、またはそれに近い年代なので、読んでみようということになった。
昨日は、私の当番、お茶はめいめい持参でお茶菓子だけを買っていった。たった4人なので、家にあるお菓子何種類かを一つずつ持っていっても用は足りる。しかし、この日は生憎適当なものがなく、スイミングの帰りにスーパーで買っていった。Tさんから、クルミゆべしの差し入れがあった。
<物語の概略>
伊奈笙子と九鬼兼太は、パリ行きの、飛行機のファーストクラスの席で隣り合った。彼女は、国際的舞台で活躍するドキュメンタリー作家である。マルチィタレントなどと呼ばれることを忌み嫌うある種の矜持を持っている。一方、九鬼兼太も国際的に仕事に奔走する大会社副社長。笙子69才、兼太57才。二人の出会いから親交を深める迄を赤裸々に描く。 タイトルは、古今和歌集で詠まれた一節にもあるように「理屈や分別を超えて、どうしようもない恋」を意味する。
Sさん
自分が関心を持っていることとは違う本を推薦した気がする。「いきいき」という雑誌にインタービュー記事が載っている。記者は懸命にモデル探しをしたという。
岸さんは、登場人物は、作者が作った人物。九鬼兼太は私の創造した人物。国際的に活躍する冷静沈着で行動的、じっくり人生設計立てて前進するタイプ。笙子は、熟慮しないで行動するタイプ。
作者は、人生の終焉にむかうこの時期に華やぎがあっていい、最後の華やぎは男女の間であってもいい、と考えた。果たして作者と笙子、どの程度重なるか、笙子が老齢の身に起きたことで病院へ行く。これは同じ悩みを持つ人への読者サービスではないかと思う。
岸さんの小説の中の笙子も、華やかな生活を送りながら、さびしい人、家族に恵まれない。夫も岸自身も一人っ子、しかも一人娘の結婚相手も外国人で交流も深くない。九鬼は5人のこどもを持ち、妻に任せっぱなし。孫もいる。笙子は、九鬼のように大勢の家族がいる人が羨ましく憧れている。
しかし、この人の世の中に対する目はきちっとしている。はじめ、九鬼の奥さんを普通の主婦として書きたかったが、幻冬舎の見城さんに反対され削られた。
Nさん
私の考えている高齢者の性とは違う。文章の中では、飛行機事故で夫はなくなるが、岸さんは、離婚。娘がいるのに考えられない。題名の付け方、納得できる。最後の方で、東北大震災にあった姉妹や身内のところへ行ったままの妻を、自分で帰ってくるべきだと、なじる場面があるが、違和感がある。救援物資に化粧品を送ることなど、女優であり、女性の気持ちを考えられる点、素晴らしい。
Tさん
同年齢なので、岸さんのことはよく知っている。「君の名は」や真知子巻き、イブ・シャンピ監督との結婚で渡仏。人によって嫌う人もいる。結婚も悪くいわれた。しかし、向こうへ行って苦労しているし、勉強もし、成長したと思う。何冊も本を書いているというが、この本は恋愛小説として読んだ。離婚して自由になった。笙子と九鬼とは不倫。私がその立場だったら・・と考えた。
笙子は最後には九鬼を奥さんに返そうと、別れを決意し、よかったと思う。外国の地名や単語、わかりにくく2度読んだ。
Fさん
岸さんに毛嫌いもない。きれいだし人気もある。モデルに似ているとどうしても重ねてしまう。80%位は自分の気持を書いていると思う。
しかし、どんな個性の人でも書ける才能もあると思う。状況を表現、心理描写もうまい。主張し、相手をなじる場面などついていけない。
仕事、思想、信念、世界のことをよく把握している。どこで戦争が起こっているか、何が原因か。
私の友人にも、心に華やかさのある人がいる。この友人は、この本を読み、いい本だ、もう一度読みたいといった。
よくぞ、老齢者の恋をここまで書いたと思う。九鬼はよく作りすぎている。ウソっぽい。複数の女性関係のある(あった)九鬼に嫉妬しすぎる。
Sさん
嫉妬は、年齢に関係ないと思う。男女の年齢差も逆でもあり得る。何かのきっかけ、ある時、ドラマチックに運命的に変わることもあるだろう。別れた夫も、レジスタンスの闘士だったかも知れない。
話題は、それから、作者と主人公とが同一人物になったような方向に進み、多岐に亘った。
Sさんが、今一番、関心のある問題は、憲法問題、DVの問題、慰安婦問題、ヘイトスピーチという憎悪の問題(新大久保の韓国人街、で毎週繰り返されるデモ。出て行け 死ねの合唱)という。あれは許せない。日本人としてはずかしい。
読みたい本の話になった。
上がったのは、
海賊とよばれた男 百田尚樹
永遠のO 〃
格闘するものにO 三浦しをん
仏果を得ず 〃
阪急電車 有川浩
助けてとはいえない(ホームレスの青年にインタビューしたもの) 作者?
かのこ繚乱 ?
当市で起こったストーカー事件についても話題になった。
人数は少ないが、話し合いやお喋りは大事なこと。一人暮らしの人は、声が出なくなると聞く。元気をふりしぼって出てきましょうと声を掛け合う。
ついでに5月から6月初旬までに読んだ本の題名だけ記録します。
利休にたずねよ 山本兼一 PHP
海馬(トド) 吉村昭 新潮文庫
見えない橋 吉村昭 文芸春秋
レイクサイド 東野圭吾 文春文庫
海賊とよばれた男 上下 百田尚樹
わりなき恋 岸恵子 幻冬舎
上記のうち、何冊かの書評・感想は折を見て書きたいと思います。
今日の課題本は、岸恵子さんの『わりなき恋』。前回、本の選定のとき、Sさんの希望でこの本に決まった。みな著者と同年代、またはそれに近い年代なので、読んでみようということになった。
昨日は、私の当番、お茶はめいめい持参でお茶菓子だけを買っていった。たった4人なので、家にあるお菓子何種類かを一つずつ持っていっても用は足りる。しかし、この日は生憎適当なものがなく、スイミングの帰りにスーパーで買っていった。Tさんから、クルミゆべしの差し入れがあった。
<物語の概略>
伊奈笙子と九鬼兼太は、パリ行きの、飛行機のファーストクラスの席で隣り合った。彼女は、国際的舞台で活躍するドキュメンタリー作家である。マルチィタレントなどと呼ばれることを忌み嫌うある種の矜持を持っている。一方、九鬼兼太も国際的に仕事に奔走する大会社副社長。笙子69才、兼太57才。二人の出会いから親交を深める迄を赤裸々に描く。 タイトルは、古今和歌集で詠まれた一節にもあるように「理屈や分別を超えて、どうしようもない恋」を意味する。
Sさん
自分が関心を持っていることとは違う本を推薦した気がする。「いきいき」という雑誌にインタービュー記事が載っている。記者は懸命にモデル探しをしたという。
岸さんは、登場人物は、作者が作った人物。九鬼兼太は私の創造した人物。国際的に活躍する冷静沈着で行動的、じっくり人生設計立てて前進するタイプ。笙子は、熟慮しないで行動するタイプ。
作者は、人生の終焉にむかうこの時期に華やぎがあっていい、最後の華やぎは男女の間であってもいい、と考えた。果たして作者と笙子、どの程度重なるか、笙子が老齢の身に起きたことで病院へ行く。これは同じ悩みを持つ人への読者サービスではないかと思う。
岸さんの小説の中の笙子も、華やかな生活を送りながら、さびしい人、家族に恵まれない。夫も岸自身も一人っ子、しかも一人娘の結婚相手も外国人で交流も深くない。九鬼は5人のこどもを持ち、妻に任せっぱなし。孫もいる。笙子は、九鬼のように大勢の家族がいる人が羨ましく憧れている。
しかし、この人の世の中に対する目はきちっとしている。はじめ、九鬼の奥さんを普通の主婦として書きたかったが、幻冬舎の見城さんに反対され削られた。
Nさん
私の考えている高齢者の性とは違う。文章の中では、飛行機事故で夫はなくなるが、岸さんは、離婚。娘がいるのに考えられない。題名の付け方、納得できる。最後の方で、東北大震災にあった姉妹や身内のところへ行ったままの妻を、自分で帰ってくるべきだと、なじる場面があるが、違和感がある。救援物資に化粧品を送ることなど、女優であり、女性の気持ちを考えられる点、素晴らしい。
Tさん
同年齢なので、岸さんのことはよく知っている。「君の名は」や真知子巻き、イブ・シャンピ監督との結婚で渡仏。人によって嫌う人もいる。結婚も悪くいわれた。しかし、向こうへ行って苦労しているし、勉強もし、成長したと思う。何冊も本を書いているというが、この本は恋愛小説として読んだ。離婚して自由になった。笙子と九鬼とは不倫。私がその立場だったら・・と考えた。
笙子は最後には九鬼を奥さんに返そうと、別れを決意し、よかったと思う。外国の地名や単語、わかりにくく2度読んだ。
Fさん
岸さんに毛嫌いもない。きれいだし人気もある。モデルに似ているとどうしても重ねてしまう。80%位は自分の気持を書いていると思う。
しかし、どんな個性の人でも書ける才能もあると思う。状況を表現、心理描写もうまい。主張し、相手をなじる場面などついていけない。
仕事、思想、信念、世界のことをよく把握している。どこで戦争が起こっているか、何が原因か。
私の友人にも、心に華やかさのある人がいる。この友人は、この本を読み、いい本だ、もう一度読みたいといった。
よくぞ、老齢者の恋をここまで書いたと思う。九鬼はよく作りすぎている。ウソっぽい。複数の女性関係のある(あった)九鬼に嫉妬しすぎる。
Sさん
嫉妬は、年齢に関係ないと思う。男女の年齢差も逆でもあり得る。何かのきっかけ、ある時、ドラマチックに運命的に変わることもあるだろう。別れた夫も、レジスタンスの闘士だったかも知れない。
話題は、それから、作者と主人公とが同一人物になったような方向に進み、多岐に亘った。
Sさんが、今一番、関心のある問題は、憲法問題、DVの問題、慰安婦問題、ヘイトスピーチという憎悪の問題(新大久保の韓国人街、で毎週繰り返されるデモ。出て行け 死ねの合唱)という。あれは許せない。日本人としてはずかしい。
読みたい本の話になった。
上がったのは、
海賊とよばれた男 百田尚樹
永遠のO 〃
格闘するものにO 三浦しをん
仏果を得ず 〃
阪急電車 有川浩
助けてとはいえない(ホームレスの青年にインタビューしたもの) 作者?
かのこ繚乱 ?
当市で起こったストーカー事件についても話題になった。
人数は少ないが、話し合いやお喋りは大事なこと。一人暮らしの人は、声が出なくなると聞く。元気をふりしぼって出てきましょうと声を掛け合う。
ついでに5月から6月初旬までに読んだ本の題名だけ記録します。
利休にたずねよ 山本兼一 PHP
海馬(トド) 吉村昭 新潮文庫
見えない橋 吉村昭 文芸春秋
レイクサイド 東野圭吾 文春文庫
海賊とよばれた男 上下 百田尚樹
わりなき恋 岸恵子 幻冬舎
上記のうち、何冊かの書評・感想は折を見て書きたいと思います。
by ttfuji
| 2013-06-13 15:56
| 読書