2013年 08月 16日
終戦記念日・靖国問題・『永遠の0』感想 |
昨日は終戦記念日。日本武道館では、天皇、皇后両陛下をお迎えしての追悼式が行われた。毎年、列席される天皇のお言葉に対し、安倍首相の式辞には、心に響くものが感じられなかった。
一方、靖国神社では、政府関係議員の参拝やそれに抗議する韓国の議員が靖国神社前で抗議すると聞いていたので、どんなことになるか、内心案じていた。矢張り右翼団体の行動が懸念されるとのことで、近づくことは、制止されたらしい。毎年、このようなことを繰り返し悲しいし、敏感に感応する中韓の人に気持を抑えてほしいとも言えない。戦犯の合祀が問題なら、別のところに移したらいいと思う。
戦死者の多くが戦争に加担した軍国主義者というのは間違いである。
このことを考えている時、半月ほど前に読んだ『永遠の0』を思いだした。
9月の読書会の課題本である。著者は、百田尚樹氏で『海賊と呼ばれた男』を読んでいる。出光石油の社長の話で人間性に魅力を感じ、興味深く読んだ。しかし、こちらの方は、戦争もので、重いテーマに余り読みたい本とは感じなかった。零戦のことは聞いていたし、海戦で戦果をあげた飛行機で最後には特攻にも使われた。靖国神社の修猷館に展示されており軍国主義の象徴のような認識もあった。
しかし、評判の本でもある。文庫本だが、かなり分厚い。読み応えもありそうだ。とりあえず、 読み通さなければならないと、7月中の読み終えた。お蔭で図書館の本は余り読めなかった。
読みはじめると、ひきつけられた。戦争の実態を余すことなく書いている、と感じた。いかに、無謀な戦争をしたか、人間を戦争の弾としか考えない上部の戦争遂行者に怒りがこみあげてくる。しかし、戦争に人権も命の尊さもない。どんな人でも状況で鬼にも悪魔にもなる。この本は、太平洋の島々での戦いが主舞台だが、中国やアジアでも同じような絶望的な状況だったと思う。
<あらすじと感想>
フリーライターの姉、慶子が司法試験浪人(ニート)の弟、健太郎に、自分の仕事のアシスタントのアルバイトをしないか、と持ち掛ける。出版社で「終戦60年の特集」を組むという。
実は、自分たちの祖父のことをしらべたいらしい。自分たちには、尊敬する祖父がいる。それが実の祖父でないと、言われても信じられなかった。自分が司法試験を目指したのも、尊敬する祖父が弁護士だったからだ。
祖母は、最初の夫を戦争で失っていた。特攻隊で死んだと聞いている。結婚生活は短かったが、女児が生まれている。それが、姉弟の母だ。しかし、母は父を知らない。母は、祖父を父だと思って育った。祖母が再婚した相手が、今の祖父である。祖母が亡くなった時、祖父からこのことを知らされたのだが、ショックだった。母のことを思えば、自分の実の父がどんな人だったか知りたいに違いない。そして健太郎はこの仕事を引き受けた。
祖父の軍歴は、厚生労働省に問い合わせて分かった。
「宮部久蔵、大正8年東京生まれ。昭和9年、南西諸島沖で戦死」彼のことを少しでも知っている人がいれば会って話を聞きたい。そして、8人の人に会った。
いろいろの祖父像が浮かんだ。祖父は、祖母に必ず生きて帰ると約束した。だから、無鉄砲なことはしなかった。それが、臆病者、卑怯者ともいわれた。しかし、仲間や部下の命も必死で守った。しかし・・・
やはり読んでよかった。
一方、靖国神社では、政府関係議員の参拝やそれに抗議する韓国の議員が靖国神社前で抗議すると聞いていたので、どんなことになるか、内心案じていた。矢張り右翼団体の行動が懸念されるとのことで、近づくことは、制止されたらしい。毎年、このようなことを繰り返し悲しいし、敏感に感応する中韓の人に気持を抑えてほしいとも言えない。戦犯の合祀が問題なら、別のところに移したらいいと思う。
戦死者の多くが戦争に加担した軍国主義者というのは間違いである。
このことを考えている時、半月ほど前に読んだ『永遠の0』を思いだした。
9月の読書会の課題本である。著者は、百田尚樹氏で『海賊と呼ばれた男』を読んでいる。出光石油の社長の話で人間性に魅力を感じ、興味深く読んだ。しかし、こちらの方は、戦争もので、重いテーマに余り読みたい本とは感じなかった。零戦のことは聞いていたし、海戦で戦果をあげた飛行機で最後には特攻にも使われた。靖国神社の修猷館に展示されており軍国主義の象徴のような認識もあった。
しかし、評判の本でもある。文庫本だが、かなり分厚い。読み応えもありそうだ。とりあえず、 読み通さなければならないと、7月中の読み終えた。お蔭で図書館の本は余り読めなかった。
読みはじめると、ひきつけられた。戦争の実態を余すことなく書いている、と感じた。いかに、無謀な戦争をしたか、人間を戦争の弾としか考えない上部の戦争遂行者に怒りがこみあげてくる。しかし、戦争に人権も命の尊さもない。どんな人でも状況で鬼にも悪魔にもなる。この本は、太平洋の島々での戦いが主舞台だが、中国やアジアでも同じような絶望的な状況だったと思う。
<あらすじと感想>
フリーライターの姉、慶子が司法試験浪人(ニート)の弟、健太郎に、自分の仕事のアシスタントのアルバイトをしないか、と持ち掛ける。出版社で「終戦60年の特集」を組むという。
実は、自分たちの祖父のことをしらべたいらしい。自分たちには、尊敬する祖父がいる。それが実の祖父でないと、言われても信じられなかった。自分が司法試験を目指したのも、尊敬する祖父が弁護士だったからだ。
祖母は、最初の夫を戦争で失っていた。特攻隊で死んだと聞いている。結婚生活は短かったが、女児が生まれている。それが、姉弟の母だ。しかし、母は父を知らない。母は、祖父を父だと思って育った。祖母が再婚した相手が、今の祖父である。祖母が亡くなった時、祖父からこのことを知らされたのだが、ショックだった。母のことを思えば、自分の実の父がどんな人だったか知りたいに違いない。そして健太郎はこの仕事を引き受けた。
祖父の軍歴は、厚生労働省に問い合わせて分かった。
「宮部久蔵、大正8年東京生まれ。昭和9年、南西諸島沖で戦死」彼のことを少しでも知っている人がいれば会って話を聞きたい。そして、8人の人に会った。
いろいろの祖父像が浮かんだ。祖父は、祖母に必ず生きて帰ると約束した。だから、無鉄砲なことはしなかった。それが、臆病者、卑怯者ともいわれた。しかし、仲間や部下の命も必死で守った。しかし・・・
やはり読んでよかった。
by ttfuji
| 2013-08-16 22:21
| 読書