2008年 03月 03日
2月の読書 |
「本のある自伝」 辻井喬
「父の肖像」に続いて読む。自身の半生記のようなものを書くように熱心にすすめられたらしいが、自伝は書かないときめていた。書いた理由は次のように紹介されている。
≪これは私のはじめての「自伝」である。
いままで書く機会がなかった訳ではないが、いつもそれを避けてきた。理由は客観的に書ける自信がなかったからである。その禁を破ったのは、熱心にすすめられたからでもあるが、「本のある自伝」という形式を思いついたからである。その頃、どんな本を読んでいたかを思い出して、その記憶にこと寄せて書くことで、ある種の、一定の客観性が保てるのではないかと考えた。≫──あとがきより
≪「本は私の大学だ」 幼いころ見た武蔵野の風景、予感された大人の世界、青春の闘いと挫折。そこにはいつも本があった。昭和の波にもまれながら、文学に、ビジネスに、ひたむきに生きた半生。≫──カバーの推薦文より
私の言葉で、この本を紹介するのはむずかしいので、借り物の推薦文になった。やはり、著者は大変な読書家であり、奥行きのある人物像に魅力を感じた。
ただ、「父の肖像」の時に、母を巡って自分の出生の謎に悩み追求しようとする姿はこの本になかった。
「聖の青春」 大崎善生 講談社文庫
「将棋の子」 〃 〃
両方ともVINさんのアップで友人のi&iさんが購入した本をお借りして読んだ。お二人ともこの本を絶賛されていたので、私も是非読んでみたいと思っていた。はじめに読んだのは「聖の青春」だった。VINさんの書評が完璧なので下記のホームページを紹介します。
http://yaplog.jp/ashy_ashy/archive/224
著者は、29歳で夭折した将棋の天才少年聖(さとし)の闘病と将棋にかけた人生を、個人的にも身近に接し支えた。幼いときに難病を発病し、入院生活の中で将棋に出会う。家族、師匠の支えがあればこそだが、本人の執念もすさまじい。病院から対局の場へ。そしてまた病院へという生活だった。
先日、NHKの「プロフェッショナル」という番組に羽生棋士が出演していたが、羽生と村山聖は何度も対戦し東の羽生、西の村山、といわれた好敵手であった。
「将棋の子」は、こちらも子どもの頃から天才といわれ、地方では天才といわれた少年が、将来の棋士を目指して、登竜門「奨励会」に入る。全国から集まった天才達に勝ち抜いていかなければ、昇級、昇段はできない。「奨励会」は年齢の壁もある。21歳までに初段、26歳で4段をとることという規則がある。多くの少年達がこの壁にはじかれ、退会していく。
著者、大崎善生も、かってこの壁を越えられず、将棋連盟に雇ってもらった人である。「将棋世界」の編集を希望したが、何年かは事務的な仕事につき最後は編集長になった。退職してからこの本を書いた。退会していく青年達の苦悩や絶望に温かいまなざしを向ける。人間的にも素晴らしい人だ。
「聖の青春」を書いた後、「奨励会」を辞めていった少年達のその後の人生を追ったのが「将棋の子」である。
同じ北海道出身の成田のその後が気になり、漸く消息がわかり会いに行くが、惨憺たる暮らしであった。精神的に成長してない甘えが感じられる。この成田のその後を軸に何人かの少年のその後も紹介する。紆余曲折の末に司法書士になった米谷は最も成功した例だろう。何人かは将棋指導者になっている。成田も、大崎のアドバイスにより、将棋を教えたいという希望を持つ。
「兄弟」 なかにし礼 新潮文庫
すごい兄がいたものである。こう次から次へ、お金をたかられたり、莫大な借金を尻ぬぐいさせられたりしたら、著者でなくても「死んでくれてありがとう」といいたくなるだろう。この兄にとって売れっ子作詞家の弟は金蔓であった。憎めない魅力ある面も持っていながら、余りの身勝手さに長所も帳消しにされてしまう。
著者の本は何冊か読んでいるが、どれも面白くよい本で才能を感じる。
「戦場のニーナ」をリクエスト中。
「絆」 市田ひろみ 角川書店
読書会の友人に頂いた本。
着物や服飾関係の専門家と思っていたら、大学の先生でもある。両親、特に母親との絆は強い。教育や人生、社会、政治にも卓見を伺える。
外に冊子3冊。略。某氏の自分史は、とても感動したので、折を見てブログに載せようと思う。
雑ぱくな読書録で恥ずかしい。もっとしっかりしたものを書きたいと思う。
「父の肖像」に続いて読む。自身の半生記のようなものを書くように熱心にすすめられたらしいが、自伝は書かないときめていた。書いた理由は次のように紹介されている。
≪これは私のはじめての「自伝」である。
いままで書く機会がなかった訳ではないが、いつもそれを避けてきた。理由は客観的に書ける自信がなかったからである。その禁を破ったのは、熱心にすすめられたからでもあるが、「本のある自伝」という形式を思いついたからである。その頃、どんな本を読んでいたかを思い出して、その記憶にこと寄せて書くことで、ある種の、一定の客観性が保てるのではないかと考えた。≫──あとがきより
≪「本は私の大学だ」 幼いころ見た武蔵野の風景、予感された大人の世界、青春の闘いと挫折。そこにはいつも本があった。昭和の波にもまれながら、文学に、ビジネスに、ひたむきに生きた半生。≫──カバーの推薦文より
私の言葉で、この本を紹介するのはむずかしいので、借り物の推薦文になった。やはり、著者は大変な読書家であり、奥行きのある人物像に魅力を感じた。
ただ、「父の肖像」の時に、母を巡って自分の出生の謎に悩み追求しようとする姿はこの本になかった。
「聖の青春」 大崎善生 講談社文庫
「将棋の子」 〃 〃
両方ともVINさんのアップで友人のi&iさんが購入した本をお借りして読んだ。お二人ともこの本を絶賛されていたので、私も是非読んでみたいと思っていた。はじめに読んだのは「聖の青春」だった。VINさんの書評が完璧なので下記のホームページを紹介します。
http://yaplog.jp/ashy_ashy/archive/224
著者は、29歳で夭折した将棋の天才少年聖(さとし)の闘病と将棋にかけた人生を、個人的にも身近に接し支えた。幼いときに難病を発病し、入院生活の中で将棋に出会う。家族、師匠の支えがあればこそだが、本人の執念もすさまじい。病院から対局の場へ。そしてまた病院へという生活だった。
先日、NHKの「プロフェッショナル」という番組に羽生棋士が出演していたが、羽生と村山聖は何度も対戦し東の羽生、西の村山、といわれた好敵手であった。
「将棋の子」は、こちらも子どもの頃から天才といわれ、地方では天才といわれた少年が、将来の棋士を目指して、登竜門「奨励会」に入る。全国から集まった天才達に勝ち抜いていかなければ、昇級、昇段はできない。「奨励会」は年齢の壁もある。21歳までに初段、26歳で4段をとることという規則がある。多くの少年達がこの壁にはじかれ、退会していく。
著者、大崎善生も、かってこの壁を越えられず、将棋連盟に雇ってもらった人である。「将棋世界」の編集を希望したが、何年かは事務的な仕事につき最後は編集長になった。退職してからこの本を書いた。退会していく青年達の苦悩や絶望に温かいまなざしを向ける。人間的にも素晴らしい人だ。
「聖の青春」を書いた後、「奨励会」を辞めていった少年達のその後の人生を追ったのが「将棋の子」である。
同じ北海道出身の成田のその後が気になり、漸く消息がわかり会いに行くが、惨憺たる暮らしであった。精神的に成長してない甘えが感じられる。この成田のその後を軸に何人かの少年のその後も紹介する。紆余曲折の末に司法書士になった米谷は最も成功した例だろう。何人かは将棋指導者になっている。成田も、大崎のアドバイスにより、将棋を教えたいという希望を持つ。
「兄弟」 なかにし礼 新潮文庫
すごい兄がいたものである。こう次から次へ、お金をたかられたり、莫大な借金を尻ぬぐいさせられたりしたら、著者でなくても「死んでくれてありがとう」といいたくなるだろう。この兄にとって売れっ子作詞家の弟は金蔓であった。憎めない魅力ある面も持っていながら、余りの身勝手さに長所も帳消しにされてしまう。
著者の本は何冊か読んでいるが、どれも面白くよい本で才能を感じる。
「戦場のニーナ」をリクエスト中。
「絆」 市田ひろみ 角川書店
読書会の友人に頂いた本。
着物や服飾関係の専門家と思っていたら、大学の先生でもある。両親、特に母親との絆は強い。教育や人生、社会、政治にも卓見を伺える。
外に冊子3冊。略。某氏の自分史は、とても感動したので、折を見てブログに載せようと思う。
雑ぱくな読書録で恥ずかしい。もっとしっかりしたものを書きたいと思う。
by ttfuji
| 2008-03-03 18:49
| 読書