2010年 02月 17日
読書メモ 『死んだら何を書いてもいいわ』 萩原朔美 ほか |
なかなか読書録が書けないので、例によって気まぐれな記録となる。
おまけにオリンピック中継があるとついテレビに目がいってしまう。明日は返却日というのに・・・
オカン おふくろ おかあさん 文藝春秋編
著名人がそれぞれの母親像を語る
勇者は語らず 城山三郎 新潮文庫
著者の得意とする企業小説といえるだろうか。日本の自動車産業と下請けの関係。 どちらも生き抜くためにぎりぎりの合理化を下請けに押しつける。冬木はメーカー側の、人事部長、山岡は下請会社の社長。2人は戦友として助け合った仲である。
「受けの山さん」といわれる山岡も渋々ながら無理難題を呑んできた。
日本車の生産台数が毎年急速に伸びていった時代、当然輸出にも力を入れ、輸出台数も増加するが、国際的にバッシングを受ける結果となる。燃費が悪く故障の多い、アメリカ車より安くて効率の良く故障の少ない日本車に人気が出るが、アメリカの自動車業界は黙っていない。
アメリカに工場を造り、現地の人を雇えと知事自らが説得に乗り出して来る。
度重なる要請に、社長はその気になる。現地の責任者に選ばれたのが冬木である。部品も日本の技術で作ったものを使いたいと、山岡にアメリカにきて欲しいと拝み倒すがウンとはいえない。中小企業の従業員150人を路頭に迷わすわけにはいかないと。
「川奈自工」「大和自工」などに、「トヨタ」「ホンダ」「日産」などが頭に浮かぶ。
しかし、内容は、人間のドラマである。それぞれの家庭や家族の問題や苦悩も読者の心に伝わる。メーカーの担当者も下請けの社長も沈黙を通す。
イーストリバーの蟹 城山三郎 飛鳥新社
表題作は短編5編の一つ。「勇者は語らず」のあと続けて読んだのだが、共通するものを感じた。例えば海外生活が家族に与えた影響とか、子どもが親の意に反して国際結婚をしてしまうことなどがある。
総合商社の副社長だった岩堀は、社長が会長に退任したとき、もう一人の副社長と社長の座を争い、自ら身をひいて支持派を落胆させ、今は会社系列のアメリカの財団の理事長を務めている。
ところが、座を争った社長が急死。今まで、岩堀派だった小野寺(米国総支配人)が社長就任の要請に来る。
今まで、妻の病弱のこともあって自宅に仕事関係の人を出入りさせなかったが、来客が 小野寺と聞いて、妻も機嫌良くもてなしの用意をする。その日とれたばかりの蟹の甲羅揚げを酒の肴としてだす。小野寺は、奥さんはこんなに料理が上手だったのかと驚きながらおいしいと言ってご馳走になる。
小野寺は、本社の岩堀派から何としても岩堀を連れて帰るように言われた、と強く社長受諾を懇請する。妻も、夫が社長と副社長は、天と地ほど違う、と言っていたのを知っており、内心、閑職の現在に満足していないことも知っている。しかし、一旦辞めたものを、引き受けることなどできないといい、もの欲しい態度は見せない人間だ。小野寺は諦めて帰り、妻は本音を言わない夫に不満を感じる。
他の4編。「遠くへお仕事に」 は銀行のトラブルに巻き込まれ横領の罪で海外逃亡を命じられた銀行員が主人公。銀行としても外に漏れることを懼れての処置だったが、万が一発覚したときは逃亡者に罪を押しつけるということらしい。
「カルガリ駐在員事務所」 「黄色い月光族」 「堂々たる打算」 ...
いずれも海外駐在員の苦難と苦労を伺わせる内容である。
イタリア幻想曲 内田康夫 角川書店
豪華客船「飛鳥」の旅 続編 貴賓室の怪人。
今回の事件は、イタリア、トスカーナ地方の貴族の古い館のホテルが舞台。ホテルのシェフの妻は、日本人女性。このホテルに、「飛鳥」の客が何人か泊まることになる。ホテルに「貴賓室の怪人に気をつけろ、という脅迫状が舞い込み、浅見光彦に、探偵の依頼が来る。(後略)イタリア旅行をしており、トスカーナの田園風景、フィレンツェの美術館やミケランジェロ広場などを懐かしく感じた。
面白かったがそろそろ内田康夫ものに飽きてきた気もする。
「私の男」 桜庭一樹
私の男は、養父だった。運命的に引かれ合う男女が書かれている。感想、あらすじは略す。
「死んだら何を書いてもいいわ」 萩原朔美 新潮社
萩原葉子の息子が、母のことや祖母(葉子の母)のことを書く。最後の168日を一緒に住み、介護して見送った。葉子にとって父、萩原朔太郎は、最も愛し誇れる父親だった。父の一字を息子に付けた。父方、母方共に、肉親の縁の薄い親子だと思う。葉子は、自分と父親を捨てた母親を捜し、北海道で再会する。その母を引き取って一緒に暮らす。親子の絆は、薄いようで求め合うものなのだと感じる。「蕁麻の家」や「父、萩原朔太郎」を読んでおり、何となく気になる人達である。
タイイングアイ 東野圭吾
新参教師 熊谷達也 徳間書店
上記2冊、未読。「新参教師」だけ継続予定。
」
おまけにオリンピック中継があるとついテレビに目がいってしまう。明日は返却日というのに・・・
オカン おふくろ おかあさん 文藝春秋編
著名人がそれぞれの母親像を語る
勇者は語らず 城山三郎 新潮文庫
著者の得意とする企業小説といえるだろうか。日本の自動車産業と下請けの関係。 どちらも生き抜くためにぎりぎりの合理化を下請けに押しつける。冬木はメーカー側の、人事部長、山岡は下請会社の社長。2人は戦友として助け合った仲である。
「受けの山さん」といわれる山岡も渋々ながら無理難題を呑んできた。
日本車の生産台数が毎年急速に伸びていった時代、当然輸出にも力を入れ、輸出台数も増加するが、国際的にバッシングを受ける結果となる。燃費が悪く故障の多い、アメリカ車より安くて効率の良く故障の少ない日本車に人気が出るが、アメリカの自動車業界は黙っていない。
アメリカに工場を造り、現地の人を雇えと知事自らが説得に乗り出して来る。
度重なる要請に、社長はその気になる。現地の責任者に選ばれたのが冬木である。部品も日本の技術で作ったものを使いたいと、山岡にアメリカにきて欲しいと拝み倒すがウンとはいえない。中小企業の従業員150人を路頭に迷わすわけにはいかないと。
「川奈自工」「大和自工」などに、「トヨタ」「ホンダ」「日産」などが頭に浮かぶ。
しかし、内容は、人間のドラマである。それぞれの家庭や家族の問題や苦悩も読者の心に伝わる。メーカーの担当者も下請けの社長も沈黙を通す。
イーストリバーの蟹 城山三郎 飛鳥新社
表題作は短編5編の一つ。「勇者は語らず」のあと続けて読んだのだが、共通するものを感じた。例えば海外生活が家族に与えた影響とか、子どもが親の意に反して国際結婚をしてしまうことなどがある。
総合商社の副社長だった岩堀は、社長が会長に退任したとき、もう一人の副社長と社長の座を争い、自ら身をひいて支持派を落胆させ、今は会社系列のアメリカの財団の理事長を務めている。
ところが、座を争った社長が急死。今まで、岩堀派だった小野寺(米国総支配人)が社長就任の要請に来る。
今まで、妻の病弱のこともあって自宅に仕事関係の人を出入りさせなかったが、来客が 小野寺と聞いて、妻も機嫌良くもてなしの用意をする。その日とれたばかりの蟹の甲羅揚げを酒の肴としてだす。小野寺は、奥さんはこんなに料理が上手だったのかと驚きながらおいしいと言ってご馳走になる。
小野寺は、本社の岩堀派から何としても岩堀を連れて帰るように言われた、と強く社長受諾を懇請する。妻も、夫が社長と副社長は、天と地ほど違う、と言っていたのを知っており、内心、閑職の現在に満足していないことも知っている。しかし、一旦辞めたものを、引き受けることなどできないといい、もの欲しい態度は見せない人間だ。小野寺は諦めて帰り、妻は本音を言わない夫に不満を感じる。
他の4編。「遠くへお仕事に」 は銀行のトラブルに巻き込まれ横領の罪で海外逃亡を命じられた銀行員が主人公。銀行としても外に漏れることを懼れての処置だったが、万が一発覚したときは逃亡者に罪を押しつけるということらしい。
「カルガリ駐在員事務所」 「黄色い月光族」 「堂々たる打算」 ...
いずれも海外駐在員の苦難と苦労を伺わせる内容である。
イタリア幻想曲 内田康夫 角川書店
豪華客船「飛鳥」の旅 続編 貴賓室の怪人。
今回の事件は、イタリア、トスカーナ地方の貴族の古い館のホテルが舞台。ホテルのシェフの妻は、日本人女性。このホテルに、「飛鳥」の客が何人か泊まることになる。ホテルに「貴賓室の怪人に気をつけろ、という脅迫状が舞い込み、浅見光彦に、探偵の依頼が来る。(後略)イタリア旅行をしており、トスカーナの田園風景、フィレンツェの美術館やミケランジェロ広場などを懐かしく感じた。
面白かったがそろそろ内田康夫ものに飽きてきた気もする。
「私の男」 桜庭一樹
私の男は、養父だった。運命的に引かれ合う男女が書かれている。感想、あらすじは略す。
「死んだら何を書いてもいいわ」 萩原朔美 新潮社
萩原葉子の息子が、母のことや祖母(葉子の母)のことを書く。最後の168日を一緒に住み、介護して見送った。葉子にとって父、萩原朔太郎は、最も愛し誇れる父親だった。父の一字を息子に付けた。父方、母方共に、肉親の縁の薄い親子だと思う。葉子は、自分と父親を捨てた母親を捜し、北海道で再会する。その母を引き取って一緒に暮らす。親子の絆は、薄いようで求め合うものなのだと感じる。「蕁麻の家」や「父、萩原朔太郎」を読んでおり、何となく気になる人達である。
タイイングアイ 東野圭吾
新参教師 熊谷達也 徳間書店
上記2冊、未読。「新参教師」だけ継続予定。
」
by ttfuji
| 2010-02-17 22:01
| 読書