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2011,1月の読書 ドンナ・マサヨの悪魔・黄色い虫 ほか

 木曜日の図書館行きは今日に振り替えた。腰も90%近く回復したと思う。
 夫が、東京の「古代史講座」に出掛けたあと、Tさんと行ってきた。図書館のあと、お昼になったので、ヨーカドーの4階、「日本橋」で「黒ごま野菜ラーメン」を食べる。イカスミのようで見かけはよくないが690円。安くておいしかった。そのあと、食料品を買う。
 
 1月に読んだ本を羅列すると
  『サンザシの丘』 緒川怜 光文社
  『猫を抱いて象と泳ぐ』 小川洋子 文藝春秋
  『雪舞い』 芝木好子 新潮文庫
  『ドンナ・マサヨの悪魔』 村田喜代子 
  『言い残された言葉』  曽野綾子  光文社
  『江戸の恋「粋」と「艶気」に生きる』  田中優子 集英社新書
  『黄色い虫--船山馨と妻・春子の生涯--』 由井りょう子  小学館 
 
 
 上から3冊目までは,VINさんのレビューで読んだ本。
『サンザシの丘』は中国残留孤児や中国人の密入国問題も絡むときき興味を持った。図書館でリクエストして2ヵ月後借りた。
 残留日本人孤児の母親と中国人の間に生まれた兄と妹の兄妹。母の身元も分からないまま、家族は日本に戻ってきた。言葉も不自由で満足な仕事もつけない生活の中で両親は死亡。兄妹は施設に預けられる。兄は、妹を守ろうとして殺人を犯してしまう。巧妙に逃げるが、犯人の、日本人であって日本人ではない。何者でもない、というつぶやきをヒントに犯人を追う刑事に追いつめられる。とても内容が濃く書評は書きにくい。VINさんのレビューをお読み下さい。
        http://yaplog.jp/ashy_ashy/archive/527

『猫を抱いて象と泳ぐ』は題名からは想像もつかない内容の小説だが、とてもファンタスティックで面白かった。この著者の小説は『博士の愛した数式』や幾つか読んでいるが、どれも小川ワールドといわれる独特の世界でほんわかして哀切があり余韻がある。チェスの才能のある少年の物語だが、チェスの世界の説明も興味深い。こちらもVINさんの書評を紹介させて頂く。
        http://yaplog.jp/ashy_ashy/archive/454

『雪舞い』。著者の作品は幾つか読んでいるが、今までの中で最高によかった。歳をとり若い頃より人生の深さ、複雑さ、女の情念といったものを理解できるようになったからだろうか。いずれも凛とした女性が主人公だが、この小説のヒロイン、有紀は料亭「花巻」の女将より後継者として期待され、そのためには後ろ盾になる後援者を持たなければならない。5年間、言われたとおり従ったが、大阪の実業家が亡くなると、次の後援者のことを画策される。幼い頃から、地唄舞いの才能を認められているが、舞いだけでは生きていけない。今度ばかりは言うとおりにならず、静岡から逃げ帰るが、この世界に生きる覚悟の甘さを女将に厳しく説教をされる。
 鎌倉で病床にある画家志望の弟を見舞い、その時隣家の画家と出会い、お互いに運命的なものを感じる。人目を憚る間だが、画家にはすべてを差配している個性の強い妻艶子がいて知るところとなる。妻と愛人という構図、お互いの情念のぶつかり合いはすさまじい。地唄舞の大舞台を舞う舞の凄さ、それを妨害する妻、画家は50代で病死するが、遺体の枕元での艶子と有紀の意地の言葉のやりとりも圧巻だ。
 中途半端な筋書き紹介よりVINさんのブログを勝手に紹介しますのでお読み下さい。
http://yaplog.jp/ashy_ashy/archive/539

『ドンナ・マサヨの悪魔』は、著者のファンでもある私が図書館の書架より見つけた本。
「鍋の中」や「人が見たら蛙になれ」「蕨野行」などどちらかといえばマニアックな作品が多いが、これもそんな期待が適う作品と思い読んだ。
 読み始めたところ、中年夫婦の会話の情景。わが家と似ていると興味を持ち読み進む。夫に対し、いろいろ気を使っているのに、お説教ばかりする身勝手な夫に反論し、自分の考えを遠慮なく語る妻。この分では離婚も近い、と感じているが、夫の方は言うだけ言うと口ほどでなく気のいい面もある。
 イタリアへ留学中の一人娘の香奈から封書が届く。レントゲン写真が入っている。癌?!、と一瞬青ざめるが、手紙を読むうちに、胎児の写真と解る。相手はイタリア青年で、東洋美術を大学で学んでいる学生であること。収入がないので、日本に帰国して子どもを生みたい、パウロと一緒に帰るのでよろしく、と書いている。
 仕事から帰った夫に手紙を渡すと、案の定、カンカンに怒って、そのあと、ふしだらな娘に育てたのは母親の責任だと矛先を妻に向けた。しかし、日が経つに従って、夫は家を改築すると言い出したり、自分たちの部屋を2階に移すと言い出したり、娘達を受け入れる気持になっている。イタリアで結婚届を出し、安定期を待って帰宅するという。そして帰国する。パウロは優しい典型的なイタリア青年で、日本語ぺらぺら。ひっきりなし香奈に愛を囁き、まさよに「ドンナ・マサヨ」とハグしやさしいことばで語りかける。父親は、ハグに戸惑い逃げ回る。イタリアの両親は香奈を娘のように愛していること。2・3年してイタリアに戻るのを楽しみにしていること、などわかる。パウロは料理が上手で、マサヨと台所でいつも手伝っているが、夫は苦々しく思っている。無収入の無責任男としか映らない。
 マサヨは、霊感体質なのか、工事の人が連れてきた老犬と話ができる。「西から子どもがやってくる。悪い話じゃない」と犬はいう。
 ある時、香奈の胎児が話しかけてくる。「ばあさんや」、という老人の声で、オレは30億年前からやってきた」といって人類が水中にいた頃の話をしたり、ある時は「老女よ」という呼びかけで、もう少し進化した人間の話をし、胎児が悪魔にも思えてくる。それはいつも娘が寝ているときに聞こえて来て、最後には人類の専門的なことまで語り出す。生殖をおえても生きつづけるメスは人間だけだという。香奈はスゴイつわりに悲鳴を上げるがそれも治まり、やがて金髪、色白、黒目の男の子が生まれる。熟年夫婦の危機を娘の赤ん坊が救ったと思えなくもない。

『黄色い虫』はi&iさんからお借りした本。船山馨と妻春子のドキュメンタリーである。
 「茜いろの坂道」や「お登勢」を読んでいるが、著者のことは知らなかった。
 プロローグは、馨の死で弔問客が出入りしている日、応対していた春子は、殆どの客が帰ったあと、取り寄せたお寿司を摘んで口に入れた、突然心不全で急死した。馨と親しい渡辺淳一氏が居合わせ心臓マッサージしたが、結局、蘇生することはなかった。渡辺氏は「一緒に死のうとしたわけではないだろうに、同じ日に寄り添うように亡くなった。幸せな夫婦だったと思います」と語った。

 春子は出版社の有能編集者だった。馨はまだ名の知れない駆け出しの作家。馨の書いたものを春子が絶賛したことから、付き合いがはじまり妊娠する。しかし、春子は結婚できなくても子どもは欲しい、1人で育てるつもりだった。馨は春子の妊娠を知ると、生んでもらっては困る、と胎児が下りてしまう薬を友人に頼んで渡す。友人は薬を小麦粉にすり替える。子どもが生まれ、退院すると、春子は馨の家に見せに行く。そのまま、帰ろうとすると、馨の祖母と母が、帰ってはいけない、ここで暮らしなさいと命じる。
 馨も同じような婚外子だった。だから本当は両親揃った温かい家庭に憧れていたのだ。しかし、生活に余裕はない。しかし、馨の祖母に救われたのだった。
 「黄色い虫」とはヒロポン中毒からくる幻覚症状である。
 太宰治の自殺によるピンチヒッターとして、新聞連載を引き受けるが、準備期間もなくプレッシャーとストレスで、ヒロポンに手を出す。それを打つと頭がすっきりし、筆が走る。妻、春子は夫の才能を信じ、仕事ができるのを最優先したから、ヒロポンを買いに走り、自らもヒロポンを打つ。薬を買うため、借金や前借りに走る。質屋も高利貸しからも借りる。借金地獄になるが、やめられない。やがて幻覚幻聴で虫がはい回ったり狢が天井に走ると言いだし、同居している青年に退治を命じたりする。子どもに薬剤を散布したりする。その惨状は読んでいても目を覆うばかりだ。何年も続くが、生まれたばかりの子が亡くなり、目が覚める。普通、入院しなければ断ち切れないと言われる麻薬中毒だが、自分の意志で断ち切った。しかし、信用はがた落ちで、一流新聞や出版社は、書いたものを載せてくれなかった。借金地獄からはいつまでも逃れられなかった。それでも、春子は楽天主義なのか、お金が入れば、家中で映画に行ったりおいしいものを食べたりした。やりくりは夫に気遣わせなかった。この辺が私には疑問である。
 漸く、「石狩平野」が北海道タイムスに掲載され、評判を呼んだが、北海道新聞では掲載されなかったのである。
 それでも出版社から『石狩平野』が出版され、漸く借金から解放される。馨も春子も、人間としてとても温かい人なのだろう。知り合いの誰彼、親戚や友人、来訪者の誰でも受け入れ、もてなし、お茶を出す。家がボロボロだろうと一向に気にせず見栄を張らない。長男、次男の2人も立派に育ち、素晴らしい配偶者に恵まれ、実の娘のように愛した。
 晩年は糖尿病に苦しみ、入退院を繰り返し、殆ど両目失明までするが、春子はすべて自分の手で看病、代読し原稿を清書した。
 とても感動した本でした。
 
 あと2冊は略します・
 
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by ttfuji | 2011-02-05 21:41 | 読書・読書会・図書館 | Comments(7)
Commented by VIN at 2011-02-06 10:19 x
3冊も私の拙文をご紹介くださってありがとうございます。
毎回恥ずかしいやら面映いやら・・・でも読んでくださり感謝しています。
『ドンナ・マサヨの悪魔』おもしろそうですね。
村田氏の従来の作品とは雰囲気が違いますね。
『あなたと共に逝きましょう』とやや傾向が似ているような。
すっかり読んだ気になるようなレビューでした。
『黄色い虫』とともに図書館で探してみます。
Commented by i&i at 2011-02-06 13:27 x
『黄色い虫』の書評待っていました。とても私には書けませんので。戦時中のヒロポンに対する考え方など信じられませんが事実なのですね。
10年ものヒロポン中毒から自身で抜け出したのはやはり並みでない船山夫妻です。滋生さんの彫刻像が気にいってます。

滋生氏のこと
肺がんの末期と宣告され抗がん剤の投与を受けながら宣告された余命を大幅に乗り越え、この先も絵を書き彫刻を彫り続けると仰っているそうで両親のDNAを受け継いでいると思いました。
Commented by ttfuji at 2011-02-06 13:41
VINさん
いつも勝手にURLを使わせて頂き、申しわけありません。メッセージでご了解頂くのが筋かと思いながら、それも大袈裟かと自己流に判断して事後承諾頂いております。それというのも、私の中途半端な片寄った記録をVINさんのレビューで、著者のことや感想などで補って頂きたいと考えているのです。下駄を預けるようなことをしてごめんなさい。
VINさんの寛大なお言葉に感謝しつつ、これからもよろしくお願いいたします。
Commented by ttfuji at 2011-02-06 14:49
i&iさん
本をありがとうございました。とても良い本、読ませて頂きました。明日の太極拳に持っていきますが自主トレ参加なさいますか。
きっかけは、投稿された「声」欄のカットの絵だったのですね。画家であり彫刻家の次男、船山滋生氏。長男真之氏も大学は美術系を出て出版社の美術部で働いており、芸術一家ですね。このことを読書録に触れたいと思ったのですが、そうでなくても長すぎるので省略しました。
Commented by 侘び助椿。 at 2011-02-06 17:53 x
 相変わらず旺盛な読書意欲とあくなき向上心に心打たれます。私はこのところ怠惰を極めていますが,挙げられた作品の中では柴木好子の「雪舞い」を読んでいます。というより、柴木好子の作品はほとんど読んでいます。琵琶湖の北にある余呉湖に題材をとった作品は「紺青の湖(うみ)」だったでしょうか。深く心に残っています。かつての江戸情緒を色濃く残す一連の作品群もいいですね。
Commented by ttfuji at 2011-02-06 20:39
侘び助椿さん
コメントありがとうございます。私もこのところぎっくり腰で出かけることが少なく、おかげで本は読めました。身体が重くなったような感じです。「群青の湖」、私も読んでいます。この頃、ミステリーやサスペンスよりしっとりした小説を好むようになりました。

以前、鍵マークに気付かず返事のコメント書いてしまったことがありお詫びしなければと思っていました。
Commented by i&i at 2011-02-06 21:50 x
明日の自主トレ行きます。よろしく。

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