2006年 09月 05日
読書録 |
ここ1・2か月ほどの間に何冊かの本を読んだ。感想を紹介することも少なくなった。書評のベテランが多くいらっしゃる。感想を書くことに気後れがあるが、非力ながら私なりの読書録として題名だけでも書き出してみる。
「アメリカ彦蔵」 吉村昭
前回の読書紹介で未了のうちに少し触れたが、江戸末期の時化による遭難で、漂流、アメリカの船に助けられた彦太郎(のちに彦蔵と名乗る)の物語。船の殆どの仲間も一緒に助けられたが、開国前で、日本に帰れず、最年少の彦蔵は、性格の良さと覚えの良さから誰にも可愛がられ、アメリカの教育も受け、キリスト教の洗礼を受け、アメリカ国籍まで取得したため、帰国に際してもいろいろの問題を抱えた。ペリー艦隊の黒船と同時期のことで、開国により、仲間は一足先に祖国の土を踏んだが、アメリカ人として、通訳や大事な交渉ごとを行い、攘夷派に命を狙われアメリカに戻ったりした。外国の新聞を読み、日本でも新聞の必要を感じ、岸田吟香の協力で新聞を発行した。彦蔵は、3人のアメリカ大統領と握手している。その一人は、リンカーンである。著者は、綿密な取材の末この本を書き上げた。
「崇徳伝説殺人事件」 内田康夫
この本を読むきっかけは、郷土史の会の「天狗の話」で、崇徳上皇の怨念が天狗になったと聞いたのがきっかけである。
成る程、上皇は怨念のうちになくなられたことは、小説にも出てくる。鎮魂の神社も、京都と讃岐の金比羅様の近くにある。それが、キーポイントともなっている。いつもながら、史実を巧みに組み込んだミステリーだった。
「五能線の女」 西村京太郎
内田康夫を読んでいるので、ミステリーとしてのあらすじが雑に思えたといったら失礼であろう。
「アレキサンドリア」 曾野綾子
VINさんに紹介されて読んだ本。紀元前2世紀、祖父がヘブライ語で書かれた「知恵の書」と言われる聖典をユダヤ青年の孫、ヨシア(祖父と同名)がギリシャ語に翻訳する内容、人生の知恵と、現代の日本人の日常の人間模様が交互に描かれる。寓話的で面白い構成である。vinさんの紹介文の、素晴らしさに惹かれて読んだ。勿論良かった。
「思い出トランプ」 向田邦子
数話の短編からなる。昔読み、幾つかは記憶に残っていたが、忘れているのもあった。日常生活の何気ない描写。かっての日本のどこにもあった風景や出来事が同時代を生きたものとして共感できる。幾つかの部分で男性の小物ぶりが目立った。男性描写に辛辣を感じた。すみれさんからリクエストされ、再読。
「女の居場所」 津村節子
エッセー。ご主人の吉村昭さんが亡くなられ、男っぽい吉村さんが、家庭ではどんな人かと興味をもって読んだ。作家という仕事は神経をすり減らす仕事である。行き詰まったりもする。普段は、よき夫、父親でも神経が尖っているときは、息子を叱りとばし、ものを投げることもあったらしい。津村さんの偉いところは、そんな夫の、出て行った先は分かっている、帰りにくいだろうと、近所のお寿司屋に迎えに行き、何事もないように一緒にお酒を飲むという。
「不運は面白い 幸福は退屈だ」 佐藤愛子
佐藤さんの人生は決して順風満帆ではない。到底乗り越えられないような体験をしてきた。著者だからいえる、挿話の数々。
「出口のない海」 横山秀夫
これも、VINさん、すみれさんが紹介していられる。きのう読み上げたばかりの本だが、改めて、戦争の愚かさ、悲惨さを痛感した。未来のある若者達が、回天という人間魚雷で、死んでいく。そのように、教育され洗脳され、国のため、愛する家族のためと思いこまなければ自らの死を決して納得できなかっただろう。
「第三の時効」 横山秀夫
読み始めたばかり。感想は次回に。
「アメリカ彦蔵」 吉村昭
前回の読書紹介で未了のうちに少し触れたが、江戸末期の時化による遭難で、漂流、アメリカの船に助けられた彦太郎(のちに彦蔵と名乗る)の物語。船の殆どの仲間も一緒に助けられたが、開国前で、日本に帰れず、最年少の彦蔵は、性格の良さと覚えの良さから誰にも可愛がられ、アメリカの教育も受け、キリスト教の洗礼を受け、アメリカ国籍まで取得したため、帰国に際してもいろいろの問題を抱えた。ペリー艦隊の黒船と同時期のことで、開国により、仲間は一足先に祖国の土を踏んだが、アメリカ人として、通訳や大事な交渉ごとを行い、攘夷派に命を狙われアメリカに戻ったりした。外国の新聞を読み、日本でも新聞の必要を感じ、岸田吟香の協力で新聞を発行した。彦蔵は、3人のアメリカ大統領と握手している。その一人は、リンカーンである。著者は、綿密な取材の末この本を書き上げた。
「崇徳伝説殺人事件」 内田康夫
この本を読むきっかけは、郷土史の会の「天狗の話」で、崇徳上皇の怨念が天狗になったと聞いたのがきっかけである。
成る程、上皇は怨念のうちになくなられたことは、小説にも出てくる。鎮魂の神社も、京都と讃岐の金比羅様の近くにある。それが、キーポイントともなっている。いつもながら、史実を巧みに組み込んだミステリーだった。
「五能線の女」 西村京太郎
内田康夫を読んでいるので、ミステリーとしてのあらすじが雑に思えたといったら失礼であろう。
「アレキサンドリア」 曾野綾子
VINさんに紹介されて読んだ本。紀元前2世紀、祖父がヘブライ語で書かれた「知恵の書」と言われる聖典をユダヤ青年の孫、ヨシア(祖父と同名)がギリシャ語に翻訳する内容、人生の知恵と、現代の日本人の日常の人間模様が交互に描かれる。寓話的で面白い構成である。vinさんの紹介文の、素晴らしさに惹かれて読んだ。勿論良かった。
「思い出トランプ」 向田邦子
数話の短編からなる。昔読み、幾つかは記憶に残っていたが、忘れているのもあった。日常生活の何気ない描写。かっての日本のどこにもあった風景や出来事が同時代を生きたものとして共感できる。幾つかの部分で男性の小物ぶりが目立った。男性描写に辛辣を感じた。すみれさんからリクエストされ、再読。
「女の居場所」 津村節子
エッセー。ご主人の吉村昭さんが亡くなられ、男っぽい吉村さんが、家庭ではどんな人かと興味をもって読んだ。作家という仕事は神経をすり減らす仕事である。行き詰まったりもする。普段は、よき夫、父親でも神経が尖っているときは、息子を叱りとばし、ものを投げることもあったらしい。津村さんの偉いところは、そんな夫の、出て行った先は分かっている、帰りにくいだろうと、近所のお寿司屋に迎えに行き、何事もないように一緒にお酒を飲むという。
「不運は面白い 幸福は退屈だ」 佐藤愛子
佐藤さんの人生は決して順風満帆ではない。到底乗り越えられないような体験をしてきた。著者だからいえる、挿話の数々。
「出口のない海」 横山秀夫
これも、VINさん、すみれさんが紹介していられる。きのう読み上げたばかりの本だが、改めて、戦争の愚かさ、悲惨さを痛感した。未来のある若者達が、回天という人間魚雷で、死んでいく。そのように、教育され洗脳され、国のため、愛する家族のためと思いこまなければ自らの死を決して納得できなかっただろう。
「第三の時効」 横山秀夫
読み始めたばかり。感想は次回に。
by ttfuji
| 2006-09-05 18:24
| 読書